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自分の感受性くらい

NOMAのオーナー、能勢夫妻から
教えていただいた一冊の詩集があります。

「自分の感受性くらい」  茨木のり子

茨木のり子さんは有名な詩人で
たしか高校の教科書で学んだ覚えがあります。

この詩も読んだことあると思う。
高校生の私には、彼女の詩の世界が実感できませんでした。

それでも名前を覚えていたのは
きっとなにか少しひっかかる部分があったからでしょう。

今、40代を迎えて再びこの詩に出会い
ガツンと心に響くものがあり、
すぐ本を取り寄せました。

*****(以下・引用です)

自分の感受性くらい   茨木のり子


ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


*****

この詩はいろんな立場の人に向けたものだと思いますが
私は自分の仕事のことを思いました。

ものづくりの世界は、
自分のなかの根拠のない自尊心との戦いだと思います。
作品の発表には
衆人の面前で裸になるほどの
大きな勇気を必要とします。

このぐらいなら私にもできる
今は忙しいからできないだけ
お金があったら私ならもっとやれる

努力する勇気があり
成功した友人知人を妬み
厭な言葉で傷つけて
そういう自分に傷つく。

いつしかしんらつな批評家となって自分のことばに縛られ
自分の作品を作って発表することもできなくなり
そのうちほんとうに体力も情熱もなくなってしまう。

そんな人がどれだけ多いことか。
自分の中にもいつでもそうなる危険性がある。
黒いふつふつとしたもの。

とにかく作り続けることがすべて。

茨木のり子さんの詩は
今の私にまっすぐ届きます。
真剣に自分自身の弱さと向き合うことの
苦しみを知る者だけが持てるやさしさが

「ばかものよ」

という言葉に凝縮されていて心を打つのです。

*****

詩の感動さめやらぬまま
プラッとダンナと行った近所の焼き鳥やさん。
こんな額がありました。

d0123492_19233974.jpg


焼き鳥屋の店長さん作だそうです。
ことばって 面白いです。
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by kozakurapon | 2010-10-15 19:26 | わたくしごと | Trackback | Comments(22)
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Commented by NOMA 能勢マユミ at 2010-10-15 22:57 x
苗さん、先日はありがとうございました!
さっそくNOMAを下の記事でご紹介してくださって光栄です。
思い切って私達の胸の内を告白してよかったです〜
松本画伯の名言は「バリア不自由」ですよ。
ほんまうまいこと言います。

で、茨木のり子さんの詩ですが。
苗さんはとっても正直な方ですね。
もの作りする人間の内面って案外ドロドロしてたりするんですよね。
場合によっては、イメージが最優先となり哀しいけれど
どうしても自分を取り繕わなければばらない時がある。
私も自分自身に負けないようにがんばらにゃ〜
Commented by kozakurapon at 2010-10-15 23:23
NOMA能勢マユミさん、こちらこそ個展前のお忙しいときに
ながながとお伺いしまして。ありがとうございました。
あ~、バリア不自由だ!!
バリアアリーなんて、私のほうがオヤジギャグだったわ。
(笑)ごめん松本画伯。

茨木さんの詩のまえでは正直になりますよ。
ものつくりやってる人間ってもともと自己顕示欲が強いし
どこかで自分は特別、やればできる子って思ってないと
できないしやらないと思う。(笑)
でも自分の求めてる世界はやればやるほどに深く、
上には上がいっぱいいて、自分の平凡さを痛感してみたりして。
自信を持ってつきすすむ人がうらやましくもなりますよ。
その人たちもたぶん同じように苦しんでるんだけど。
だいぶ自分を素直に表現できるようになったけど
まだまだ黒いものがふつふつしてると思いますよ。

とにかくしつこく作り続けることしかないですよね。
ばかものだからがんばらにゃ~!


Commented by toubounonki at 2010-10-16 00:26
うーん、言葉がしみるなぁ・・・。
自分の内側を見られてるかんじ。
そう、なんだかふつふつしたもの、抱えてる気がする(爆)。
Commented by CITY at 2010-10-16 01:25 x
グサグサグサ…(´ д `)
目が覚める思いです;
いや、でもなんかもぅ手遅れな内の一人かも…
いやいや、がんばりたいものですっ (>ω<ノ)ノ

詩を紹介してくださってありがとうございます!!!
Commented by utsuwatabi at 2010-10-16 03:19
茨木のり子さんの詩には、
いつもガツンとやられることが多くて^^;
何度もハっとさせられることがありました
そしてダメダメな自分を相田みつをさんの「人間だもの」の
言葉でムリに救おうとしてみたり(笑)^^;
もの作りに対する葛藤を打ち破る強さは
「とにかく作り続けること」と私も思います^^
Commented by りえ at 2010-10-16 08:52 x
チャンスは自分で掴むもの。
つい、成功していく人を横目でみつつ意地悪な事をいったり
自分だったら、自分だったら・・・
行動に移すこともできないのにこんな呪縛にとらわれてしまいます。
その一つに年齢です。
30代後半になって思うのですが、焦りを少し感じてます。
子育てもプラスしてさらに焦っているような・・・
時間を有効活用して、もっともっとと思いつつもなんだか
体がついていかない~ってここで体力の性にしてみたり・・・
だめだなぁと思います。
さてさて。週末はいろんな事でカラカラに乾いた心のみずやりをしますかね~
Commented by おっぴい at 2010-10-16 10:36 x
私もこの詩大好きです、
好きというか、読む度にドキ、ズーッンと来ます。
海外に行く前に買った『ポケット詩集』(童話屋)の中に入っているのですが、
心のちっちゃな支えになってくれたように思います。
今でも何かある度に開きます。
Commented by kozakurapon at 2010-10-16 12:41
toubounonkiさん、しみるよね。さすが言葉のプロは違うわ。
この詩は私たちが子供の頃に書かれたものだけど
きっと普遍的なものなんだと思います。

みんな多かれ少なかれ持ってるよ。ふつふつとしたもの。
Commented by kozakurapon at 2010-10-16 12:46
CITYさん、手遅れということはないですよ。
この詩はむしろ、できあがってると思ってる人
それなりに苦労もしたから
なにか掴んだと思っている、
上の世代の人にも向けられてると思いますよ。
死ぬまで自分に問いかけなくてはいけないものだと思う。
Commented by kozakurapon at 2010-10-16 12:56
utsuwatabiさん、絶対この詩を知っているんじゃないかなと
なぜか思ってました。
相田みつをさんの詩はまた違ったアプローチで
深いところを突いてきますね。
お地蔵さんの絵になぐりがきした、まねっこ相田みつをが
世の中に氾濫するのを見て、そのレベルの違いに
逆に相田みつをの凄さを実感しました。

結論はそうなんだよね。
いかに愚直に作りつづけることができるか
そこにかかっています。
Commented by kozakurapon at 2010-10-16 13:13
りえさん、仕事をしていても、結婚しても、子育てしていても
自分が社会のなかでどう役割をみつけて生きていくのか
その宿題はずっと続くものだと思います。
30代なかばって、めっちゃ若いですよ。(笑)
子供相手の仕事をしていたからわかるんですが
こどもは残酷なくらい自分を映す鏡になりますよね。
自信のない部分をまっすぐに突いてきます。
ほんとにまとまって自分が集中できる時間がないから
焦ってしまう気持ちもわかる気がします。
でもいつまでも手のかかる幼児じゃないですから
自然と少しずつ時間はできていくと思いますよ。



Commented by kozakurapon at 2010-10-16 13:19
おっぴぃさん、ご存じでしたか。
なんか「うっ」と胸がつまるような衝撃ですよね。
いかにうまくいかないことを人のせいにしたり
言いわけでとりつくろって生きてるか。
表面的なやさしい言葉より
この厳しさが心にしみます。
Commented by yamachic at 2010-10-16 15:02
あ~私も喝を入れられた~。
特に時代のせいにするな、ってとこ。
私はやっぱりバブルを謳歌した世代の人のこと
ねたんでる時ありますね。(笑)

でも旦那を褒めるのは、もう面倒くさくなりましたっ!!
頑張ってた時期もあったけど。
だったらアンタも私を褒めろ!って言いたくなります。(@_@;)
Commented by kozakurapon at 2010-10-16 20:28
yamachicさん、そうだね~
バブル期就職世代ではありますが
狭き門は昔から狭き門だったよ。
出来る人はどの時代でもできるし
できない人はどの時代でもできないし
運のいい人はいいし悪い人は悪いよ。
ただ、戦争のない時代に生まれて
ここまで生きてこれたことは
運がいいと思うし先人に感謝だよ。
レジスタンスを起こさないと生きていけないほどには
お互い追いつめられていないんだし、
まだ自分の身近な努力でなんとかなる余地は
残されているんだと思う。

焼き鳥屋の店長さんに、この額の「ヨメ」の部分
「ダンナ」に書き変えてもらわないといかんね!
ほんとに、ちょっとのやさしい言葉で
どれだけがんばれるかわかんないのにね。




Commented by Potter-Y at 2010-10-16 23:15
グサっとというかズバっときますね。
ものを作ってる人に限らず響く言葉ではあるんでしょうけど、
今年は特に悩みながら作ってた一年だったので。

でもこうしてみると皆さん同じような想いを抱えながらつくってるんですね。
そう考えるとやっと今年になって足を一歩踏み出したところなのかも。(笑)
Commented by kozakurapon at 2010-10-17 20:38
Potter-Yさん、そうですね。
たぶんほとんどの人が同じ想いで、
ともすれば消えそうになる自尊心を
かろうじて保ちながら
がんばっているのだと思います。
自分の好きなことを仕事にしてしまうと
そこで否定されたら、人生を全否定されるのと同じくらい
辛いのかもと思います。
真剣にやればやるほど辛いのでしょうが
それでも自分のできる最高の作品を作るために
とにかくつくりつづけることでしか
その苦しみを薄めることはできないのだと思います。
Commented by ぢゅう at 2010-10-19 01:34 x
内容とは、関係ないのですが。。。
たむらぱんの「ライ・クア・バード」って歌はオススメです☆
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Wq6SpeWU_-s

よければ聴いてみて下さい♪
Commented by kozakurapon at 2010-10-19 22:16
ぢゅうさん、聴きましたよ。結婚式のBGMなんかにいいかな。
君とつがいになってとか、歌詞がね。
前回コメントかえしてから、ぢゅうさんが誰か、ふっとわかりましたよ。
Commented at 2010-10-21 13:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kozakurapon at 2010-10-21 23:02
鍵コメPさん、いい詩ですよね。
ひさしぶりに本を買う気になりました。
プリントアウトもいいのですが、
このさいじぶんで紙にかいたらどうでしょう。
わたしは声に出して朗読してみました。
詩に、書く、読むなどの動作を加えることで
より内容を深く理解できるような気がします。
Commented at 2010-10-22 12:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kozakurapon at 2010-10-22 19:03
鍵コメPさん、ぜひやってみてくださいませ~。