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ペンギン・インコ陶つうしん

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らくがきドラマ「あのときの喧嘩・加筆改稿版1」

らくがきドラマ本ですが、先日ようやく印刷会社に入稿。
そこは同人誌印刷では大阪でも有名な出版社だったのですが
全然わけのわかってない人にも
親切丁寧に対応してくれました。
らくがきドラマ「あのときの喧嘩・加筆改稿版1」_d0123492_1762124.jpg

受付には、参考のためにたくさんの同人誌の見本が置いてありました。
どれもプロみたいにすごく綺麗に描かれていて、
印刷もとても計算された色遣いや紙質。
しかもどうやら私の一冊千円という値段設定より安そう。
一冊千円で60部売れてやっと印刷代くらいなのに
フルカラー表紙とかで同人誌描いてる人はたいへんだなぁと思いました。
きっとたくさん売れるから値段を抑えてもやっていけるんですね。すごい・・。

私がちょっとかじった高校生くらいのときは
コミケも近所の高校の体育館や図書館でノンビリ行われていたものですが
いまどきは大きなイベント会場を貸し切りで、何万人と集まるすごい世界なんですよね。

そりゃもう連日必死で描いた原稿ではありますが
あまりの素人っぽさ、素朴さに
予約いただいているお客様に申し訳ない気がしてきまして
せめて表紙の材質とインクのランクは上げました。
たくさんオマケのカットを増やして、
らくがきならぬマジがきドラマになってますので許してください。

*****

とつぜん始まるらくがきドラマ。
といっても今回のは新作ではありません。
2009年に書いたらくがきドラマ第一話が
なりゆきで連載になったためストーリーになっていなかったので
らくがきドラマ書籍化にあわせて、加筆改稿したものです。

*****

とある町の、大きな古木のうろのなかに
夕刻になると、ちいさな灯りがひっそりともります。

バー「とまり木」。

らくがきドラマ「あのときの喧嘩・加筆改稿版1」_d0123492_17281166.jpg

「マスター、ネクトンをロックで・・・」
「はい。いい赤粟の穂が入っていますが、どうされますか?」
「じゃ、それも。」

「あ、お客さん。」
「ん?」
「カウンターかじりはご遠慮ください。」
「ごめんごめんマスター、
ちょっとクチバシが伸びていたから・・・。」

「ベタファームももらおうかしらぁ~。」
「お客さん、ビタミンのとりすぎですよ。」
「そうね~、この前も検査にひっかかったわ。」

「あ、キバちゃん」
らくがきドラマ「あのときの喧嘩・加筆改稿版1」_d0123492_17315891.jpg

「よっ、待ってました!」
「・・・キバちゃんって誰?」
「オーストラリア帰りの「流し」よ。
あちこちの酒場を巡って、客の歌にあわせたり
リクエストに応じてギターを弾くの。」
「ふ~ん。」

「キバちゃんいらっしゃい。・・・なにかあった?」
「えっ?マスター、べつになにもねえよ。」
「ふ~ん・・・そうかな?」
キバちゃんはあわてて目線をそらしました。

「・・・でもあいつ、ちょっと短気だって聞いたぜ。
この前も派手な喧嘩したって。」
「誰と?」
「「鐘かぶりのポン」と「半目のピヨちん」さ。」

数日前のことでした。

夜の街で、キバちゃんとすれちがった「鐘かぶりのポン」が
いいがかりをつけたのです。

「こらキバ野郎!下手なカトルボーンなんか弾きやがって。
お前のせいで仕事はあがったりや!」

「鐘かぶりのポン」の仕事は、酔ったインコ客の頭に
好みの鐘をかぶせてやることです。

ただ、報酬として、法外な蕎麦の実を要求するのでたちが悪い。
バーの常連客の鼻つまみ者なのです。
らくがきドラマ「あのときの喧嘩・加筆改稿版1」_d0123492_17412488.jpg

「ほんまやでポン兄弟。
こいつキャアキャア騒がれて、調子にのっとるで!」

チンピラ仲間の「半目のピヨちん」も加勢。

「なんだと・・・やるか?」
「おう、ここは迷惑や。そこのほわ毛公園に行くで!」
「望むところだ。逃げるなよ。」

3羽はほわ毛公園に着きました。
もう物見高い見物人たちが彼らを囲んでいます。

「ほなポン兄弟、俺からいくで!」
「おう、頼んだでピヨちん。」
「ギャギャギャ!ポンちゃんはう・ろ・こ!
おぴ~ちゃんもう・ろ・こ!」
「うわっ、こらピヨちん、俺の頭の鐘に萌えてどうすんねや!」
「すまん兄弟、俺、光りもんに弱いんや。」

「お前らのっけから仲間割れか。
じゃ、俺からいくぜっ!!」

キバちゃんの冠羽が全開に・・・・!

「やめんねっ!」

ザバッ!
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公園の向かいの、桃の古木にある
割烹「桃色鳥類」のおかみ、ピーチ姐さん。
防火用水のバケツの水を一同に浴びせたのです。

「うわっ、なにすんねん!」
「しゃーしかね!店の前で喧嘩ば、せんとよ!」

「ううっ、しゃあないな。
こらキバ野郎、今にみとれよ!」

「鐘かぶりのポン」と「半目のピヨちん」は
ののしりながら逃げていきました。

「たいへんね、ピーチ。」
「あら、みとったとね?」
らくがきドラマ「あのときの喧嘩・加筆改稿版1」_d0123492_1875897.jpg

誰もいなくなった店の前に
ピーチの幼馴染、ぴく美が立っていました。

つづく!
by kozakurapon | 2010-08-16 18:11 | らくがきドラマ | Trackback | Comments(12)
Commented at 2010-08-16 20:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kozakurapon at 2010-08-16 22:30
鍵コメOさん、ああ~わからないですよね。すみません!
説明しますと、半目のピヨちんとは
ヤフーブログ「あさたろう日記withインコ」の看板セキセイインコ。
おしゃべり上手で半目の似合う可愛い子なんです。
光りものが好きで、金属の部品などに向かって
しきりにおしゃべりをして餌の吐きもどしをしたりしてしまうのです。
以前おぴ~さんの主催するオフ会に一緒に参加したときに
あさたろうさんがピヨちんに
「おぴ~ちゃんはコザクラインコ、
ビビちゃんはウ・ロ・コ」などと教えたのを
自分でいろいろと変えて「おぴ~ちゃんはウ・ロ・コ」など
面白いおしゃべりをしていたのが話題になりました。
それをもとに書いたものです。
あまりにも内輪ネタでしたね。
もうすこし分かるように書きなおしたらよかったな。
Commented at 2010-08-16 23:01 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kozakurapon at 2010-08-17 09:09
鍵コメPさん、九州弁翻訳ありがとうございました。
この物語が素晴らしくいきいきとしたものになり、
方言の持つ力にあらためて驚きました。
Pさんとの共同制作にもなりましたね。
私にとっても想い出深い作品となりました。

私はスクリーントーンを使わないので
線描で描きこんだら2羽とも柄の部分が
オッサンのすね毛のようになってしまいました。(笑)
なのであえて模様をつけない形で描いています。
ぴくちゃんが白オカメになってますがあしからず。

らくがきドラマでは、オスメスの区別も、
生死の区別もありません。
読む方の心の中で、また新しい命を得て
みなさんに愛されたらいいなと思います。
Commented by はなたろ~ at 2010-08-17 10:12 x
九州弁?が出てきてびっくりしました~。
北部九州の言葉かなぁ・・?
みんなの表情がとてもいいですねぇ♡
Commented by ひめたま at 2010-08-17 12:42 x
いやー。すばらしいー。宮崎駿の原画みたいな柔らかタッチが、大変好みですー。万年筆でお描きになるんでしたっけ。もちろん予約してます。楽しみに待ってますよー!
Commented by kozakurapon at 2010-08-17 13:18
はなたろ~さん、そう、筑豊地方と福岡弁のブレンドだったかな?北部の訛りのようです。
時間はありませんでしたが、絵はひとつひとつ妥協なく
丁寧に描いたつもりです。ありがとうございます。
Commented by kozakurapon at 2010-08-17 13:29
ひめたまさん、私は宮崎駿の作品は
アニメしか見たことがないのですが、ペン線描中心なんですね?
スクリーントーンを使わず、
またロットリングなどの一定のタッチではなく
太さが微妙に変わるペンの線描のタッチを重ねるのが
あまりクールになりすぎないので
自分の絵にはあうと思っています。
もっと本格的にするなら、ペン先を使い分けたらもっと面白い描線が得られるでしょうね。
予約ありがとうございます。
たいへん荒削りではありますが、一生懸命描きました。
Commented by ちょびうさ at 2010-08-17 19:14 x
うほー、久々にみた~♪
やっぱいいなあ、この味のある感じ。
そしてこまつかさんの発想の素晴らしさをつくづく感じます。

絵のうまさだけじゃないんですよねー、こまつかさんの魅力って。
Commented by Potter-Y at 2010-08-17 21:19
過去記事を辿って以前のものと見比べてみましたが、
かなり加筆されててびっくりしました。
バーの雰囲気が味が出てていいですね~。

きっと全編この感じで手をかけてそうなので、
うつわ作りとあわせてかなり大変だったのでは。
Commented by kozakurapon at 2010-08-17 23:00
ちょびうささん、ありがとうございます。
つい何度も見てしまうような、味わいのある絵を描けたらいいなと思います。
Commented by kozakurapon at 2010-08-17 23:01
Potter-Yさん、うつわづくりは捨ててました。(爆)
これからもっと加筆した分が続きます。