染付磁器はつるっとして清潔。
絵もクリアに発色するので、綺麗に描きたいタイプの絵付に向いています。
でも、清潔、綺麗を裏返すと、うつわとしての面白さのようなものは感じにくいかもしれません。
まだやきものの技術が未発達な時代や
官窯ではなく庶民の雑器を作る窯の染付磁器は
生地に鉄分が混じったり、ふちが虫食いのようにぼろっとしていたり
絵具(呉須)の発色にムラがありすぎたり。
でもそんなおおらかさが逆にのびのびとして面白く
欠点が見どころになったりして、茶道具として珍重されていたりするのです。
私も有田のような完璧な磁器より
中国の明時代の古染付や、愛媛の砥部焼みたいに
ざっくりした味のある磁器が好きです。
半磁器土は扱いやすく、磁器のように完璧に白くないことが味かと思って
今まで使ってきたのですが
SOU工房の西岡先生に、半磁器をなぜ使うのかとあらためて訊かれて
そういえばなぜ半磁器だけにこだわる必要があったのかと疑問を感じるようになりました。
もうすこし自分なりの工夫をしてみてもいいのではないか。
で、試してみました。
磁器土にシャモット(石粒みたいなもの)をまぜて、還元焼成で焼いたもの。

磁器土に同じくシャモットをまぜて、酸化焼成で焼いたもの。
写真より少しクリーム色を帯びています。

そして陶石をまぜたものを還元焼成。まったく溶けてしまって、普通に綺麗です。

精製していない陶石を粉砕したものを混ぜたらいいのかもしれませんが。
混ぜ物をしたものは、絵に独特の質感が加わり渋い仕上がりになりましたが
ただ、やはり食器として使うにはざらざらしすぎて適していません。
シャモットを入れるにしても、量や粒の大きさに配慮は必要かと思います。

染付の作家さんでも、わざと溶けやすい釉薬で絵を流し加減にしたり
鉄をうつわの縁にのせて味を出したりしている方は多くみられますが
案外お客さんから見たら傷にしか見えなかったりするんですよね。(汗)
そのへんの加減がほんとに難しいところです。