なりゆきで始まった天下一武闘会。
先鋒は、孤高の剣豪 ハシビロ武蔵と茶居治郎である。
背の高いハシビロ武蔵は上段の構えで茶居治郎を静かに威嚇。
10分経過。
30分経過。
1時間経過。
そのとき。
唐突に、ハシビロ武蔵は裂帛(れっぱく)の気合いで茶居治郎に襲いかかった。
不意をつかれた茶居治郎・・・!
「うぬうっ・・真剣白羽鳥(しんけんしらはどり)か!!」
刺さってるけど。
「茶居治郎っ!」
真っ青になるポ兵衛と手裏剣おぴ~。
「大丈夫ですよ父上。」
「低反発素材のヘルメットをかぶっておいて良かったです。」
ハシビロコウは1回戦うと半日休まないといけない体質なのであっさり退場。
怒り狂う悪代官忌暮(いみぐれ)。
「つぎはダルマ兄弟行け!華麗なワキワキステップで翻弄するのだ!」
手裏剣おぴ~が蕎麦の実を見事な手さばきで投げていくも、
軽快なフットワークですべて噛み砕き、まったく隙をみせないダルマ兄弟。
「わしも加勢するぞ!」
そう言い放ち、ポ兵衛が鳥のようにひらりと舞い上がった。(鳥だけど)
「コザクラ無茶苦茶流奥義 ちゃぶ台返し!」
そこらじゅうの文房具や重要なメモ、レシートを
次々に落としていく荒技で相手を翻弄。
おぴ~も負けじと、
「亀羅万(かめらまん)流手裏剣奥義 水糞回転連射!」
「うへえっ、きたねえ!」
ひるむダルマ兄弟。
コザクラ剣士たちのしぶとさに業をにやした悪代官忌暮。
「ふっ、かくなるうえは、あの秘密兵器で相手するしかなさそうだな。
大きな檻を曳いてくるよう、部下に命じた。
「ふふっ、これと対決するがよい!」
「ううっ、コモドドラゴン!」
「おなかがすいたらわが子でも食らうという、怖ろしいトカゲじゃないか。」
「よく知っているな。ちょうど腹が減っているようだぞ。逃げ惑うがよい!」
忌暮はそう言うと、紐をひっぱり、檻の扉を全開にした。
「うわあああ~」
飛び出してきたコモドドラゴンに、
逃げ惑うコザクラたち。
おなかがすいたら、わが子を襲うこともあるコモドドラゴン。
おなかがすいたら、忌暮たちも公平に襲うコモドドラゴン。
「うわあああ~」
「まことに、あほうな・・・」
忌暮であった。
つづく。