石川県のやきものといえば九谷焼。
陶芸村は、松井秀喜選手の出身地で有名な
能美市という金沢市内からは少し離れたところにあります。
きれいなショールームや技術研究所、工房があり、
敷地内には九谷焼の陶芸資料館もありました。
が、私たち以外人がいない・・・。
まあ、お祭りでもないかぎり
陶芸の産地はどこもガラガラですけどね。
でも陶芸好きにとっては楽しめるところ。
印刷の安いもの、陶芸学校の生徒の作品などもありますが
家一軒建つくらいの値段の
人間国宝(徳田八十吉など)のものすごい作品もあります。
昔の職人の手描きの名品が
驚くような価格で売られていてビックリしました。
(昭和30年代の赤絵細密描画の煎茶道具がお買い得でした。
数が揃ってないから?2~3千円でびっくり。まあ使う人が限られるし
古美術というほどに古くないからでしょうけど絵が素晴らしく、値打ちでした。)
敷地内に「石川県立九谷焼技術者自立支援工房」
という施設があり、覗いてみました。
中庭を囲んで五つのきれいな工房があります。
ここは九谷の技術研修所を卒業したなかで
将来有望な作家に3年間の期限を切って
光熱費以外の使用料一年目月額12500円、2年目は倍、3年目は3倍。
がんばらないと苦しくなるシステムで
作家のお尻をたたきながら支援するための施設です。(笑)
今第4室を借りておられる川合孝知さんの作品が
私はとても気に入って、あとで敷地内の商店で買いました。
器は奥さんが挽いておられるそうで、とても軽い。
でも九谷焼は基本、磁器なので丈夫です。
満開の桜を見上げた空に小さく飛行機の描かれたマグカップもあり
迷いましたがこれにしました。私はやはり染付が好き。
工房の施設の管理人の方がとても熱心に
九谷焼の現在の様子、技法などについて説明してくださいました。
九谷焼は染付の藍九谷など、いろいろありますが
釉薬を掛けて本焼きをしてから独特の色あいの上絵の具で
色絵を描くのが代表的な手法です。
昔の作品などはギッシリ器の内側にも
細かい絵付けがなされたものがあります。
私も絵付け師のハシクレだったことから、
低い温度で焼きつける絵の具に含まれる
「鉛」の濃度の話には興味があり、
お話を興味深く聞きました。
なぜ絵の具に鉛が含まれていたのか
鉛入りの絵の具はとても伸びがよく、発色もいいからです。
現在九谷焼では、ある大きさ以上の鉢、マグカップなどは
厳しく数値や描く位置などが規制されているということです。
私は以前勤めていたときは上絵を主にしてきましたが
自分でするのは釉薬の下に絵を描く下絵です。
上絵があまり好きではなく、青と白だけの染付下絵が好きということはありますが
万が一私の作ったものから鉛が溶出したら困る、という思いもあります。
とくに鉛が溶けやすいのは、酢の物やレモンなどの酸を含む食品を
上絵付け、または楽焼やコウチ(字が変換できない・・)焼きなどの
低温で焼きつける色釉の上に長時間盛り付けたりした場合。
化学反応をおこし、鉛が溶け出すということです。
昔の名品なんかはどうなんだという気もしますが・・・
高級品に食べ物いれっぱなしはないでしょうから
たまに使うくらいならたいして影響ないでしょう。
毎日使う食器は、昔の作品で和絵の具や
低温焼きつけの色釉が使われている場合は
入れる食品に注意したほうがいいと思います。
やっぱり染付が私は好き。
器は売るほどあるのに、つい買ってしまうのでした。
これは「そメや」という、女性ばかりの工房でつくられた器。
わざと九谷花坂の磁器原料に粉砕時に生じる微小な原石を混入し
独特な味わいのあるやきものを作りだしているとのことです。
これ、使いやすいうえに絵付けに味があって素晴らしい。
寒い季節ということもあり、陶芸村にお客さんは少なかったですが
施設やお店の方もみなさん感じ良くて、とても楽しめました。