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ペンギン・インコ陶つうしん

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ひさのさんのキューピー

最近古民家を直したカフェは街じゅうにあふれています。
でもなんというかわざとらしい造りの店も少なくないです。

ここは古く美しいものへの尊敬と愛情で作られたところ。
それが第一印象。

入ってすぐ、オーナーの横山さんが出迎えてくださいました。
おだやかで上品な女性。
私は気になるアーティスト「ひさの」さんの作品が
一年前ここで展示されていたのを知っていたので
その作家さんについて聞きました。

知らなかったのですが、その作家さんは
去年の作品展のあと亡くなられたということでした。
もう見られないのか・・・

と思ったところ、作品がここにあるので見てほしいと横山さん。
来てよかった!
ひさのさんのキューピー_d0123492_1841617.jpg

ひさのさんの作品は、ごく小さなキューピー人形に
ごく細い糸を着せながら編み込むというもの。
大きさは・・カードを置いて比較しましょうか。
ひさのさんのキューピー_d0123492_18493487.jpg

これは「まろ」とオーナーさんが呼んでる人形。
オーガンジーのかぶりものが烏帽子のようです。
よく見ると中に巻き貝が仕込んであるのわかりますか。

着せ替えキューピー自体は昔から手芸やにいけばキットもあり、
普通に手芸として楽しむ方も多いです。

でもこのキューピーのおしゃれさは普通じゃない。
ひさのさんのキューピー_d0123492_188223.jpg

頭の上の尖塔のようなビーズの飾りの細かさ、色遣いの美しさ。
ひさのさんのキューピー_d0123492_1882957.jpg

おしりには貝がら!
さんごののってるのもあります。
ひさのさんのキューピー_d0123492_1811106.jpg

これは顔が大人っぽいので、詰め物をして足を長くして編み込んだもの。

さてみなさん。このアーティストさんはどんな方だと思いますか。

彼女は100歳近い女性なのです。

90歳からキューピーの人形づくりを始め
98歳で亡くなるちょっと前まで作品を作り続けました。

これが最後の作品です。
ひさのさんのキューピー_d0123492_18164954.jpg

思いっきりはじけてるでしょう。(笑)
これがその前の作品。
ひさのさんのキューピー_d0123492_18531296.jpg


携帯の写真ではうまく表現できていませんが
素晴らしい細工なのです。素材のひとつひとつまでこだわって
丁寧に作る静かな情熱がつたわってくるような作品なのです。

ひさのさんは明治生まれ。オーナーさんのお祖母様。
まったく芸術とは無縁な人生を歩まれました。
たいへんな苦労をのりこえてきた方だそうです。

ただ、洋服などはこだわりがあり、
オーナーの弟さんのTシャツを分解して他の素材とくみあわせたりして
自分の洋服をつくられたそうです。
またそれがおそろしくお洒落だったりする。
環境さえ違えば、ひさのさんはファッションデザイナーになっていたかもしれません。

アーティスト魂。
これがアートだという気負いもなく
ただただ心の求めるままに
純粋に表現した世界に感動を覚えました。

ひさのさんは病院にかかることもなく
ある日、いつものように過ごして床につき
朝がきても目覚めることはなかったそうです。

このお店、「好日居」。
以前は建築関係のお仕事をしていた横山さんが
30年近く空き家だったこの家に「呼ばれて」
改築をし、お店をオープンして一年。

場所がわかりにくいこともあり
ここは観光客がくることもなく
私がいたあいだも切れ間はないものの一人づつ
ここを探してくるお客さんがゆっくり静寂を楽しみにくるような感じ。
ひさのさんのキューピー_d0123492_18484272.jpg

これは「岩茶」という中国茶。ライチのようなほのかな香りがして
とても美味しかった。3煎目まで沸かしたてのお湯を入れてもらい、
風味の変化を楽しむことができます。
手作りケーキも美味しかった・・。

ここは、教えたいけど教えたくない場所。
できたらひとりで。美術館に行くついでにでも
ゆっくりお茶と静かな大人の時間を楽しみにきてほしい。

場所は神宮道の小倉山荘の角を東にはいり、
山崎書店のななめ向かいです。
あんまり詳しく教えないでごめんなさい。
探す気持ちのある方だけ・・ぜひ。

好日居をあとにして
ようやく今日京都に来た主目的、松島さんの個展会場に行きました。

前は奥のせまい部屋でしたが
今回は広い部屋で、新作も大きいものが多く
新聞からも取材を受けて
ますますのってきている感じで嬉しかったです。

私もがんばらにゃ~!
by kozakurapon | 2009-04-12 19:18 | おすすめ作家さん | Trackback | Comments(10)
Commented by あさたろう at 2009-04-12 21:02 x
着せながら編むんですか、本当に細かい作業なんですね。こだわりが一つ一つのキューピーさんを見てて分かります、すごい方ですね、でも肩に力が入らず、こだわりを持って楽しく自然に。。。理想です。何かを始めるのに年齢は関係ない、始めようと思った所がスタート! 私もガンバらにゃあ~! 。。。って何をだ?と自問自答。。。(・∩・)
Commented by maio at 2009-04-12 22:26 x
こまつか苗さん、ご無沙汰しております。いつも楽しく拝見させていただいております。

アーティストさんの最後の作品というお写真のキューピーちゃん、素晴らしいです。なにかこう、ガツン!ときました。
今度京都に行くときは、ぜひ実際自分の目で見てみたいと思います。
Commented by 梅茶漬け at 2009-04-12 23:56 x
お久しぶりです、以前コメントさせて頂きました梅茶漬けです(*_ _)
ひさのさん、物凄い素敵な作品を作られますね!!
発想が本当に素晴らしい!!!!
最後の作品なんて、左手にお団子を持っているのに
格好はアラブ系。。。そして右手はリス(?)www
はじけてて凄いです!!♪(* ̄(エ) ̄*)ポッ
私も編み物しますので、わかりますが、これはかなり大変な作業かと思います。
手先も器用な方だったのですねぇ~♪
私もひさのさんや、こまつか苗さんのような発想が持てるよう
見習わねば!!と思いました~。
Commented by yukai5 at 2009-04-13 10:42 x
キューピーさん、鳥肌ものですね。
やはりいくつになってもワクワクしたり
妄想したりしているおばあちゃんになりたいと思います。

Commented by kozakurapon at 2009-04-13 22:52
あさたろうさん、素敵でしょう?
なにか表現するよろこびに満ちた作品ですよね。
年齢のことをわざと最後のほうに書いたのは
彼女のアートを100歳目前の
おばあさんの作品だからすごい、という目で
見てほしくなかったからです。
もちろんその要素が加わることで
更に驚きと感動が生まれますが。
これからどう豊かに、やわらかいこころを忘れずに
年齢を重ねていけるでしょう。
ほんとうにいいものを見せてもらいました。


Commented by kozakurapon at 2009-04-13 23:04
梅茶漬けさんは編み物をされるので、
この技術のすごさがおわかりになるのですね。
最後の作品はとくに素敵でしょう。
さすがに目が見えづらくなり、
思うような表現ができなくなったからと
最後にひと花咲かせて編み棒を置かれたわけです。
なんだか私は
花火大会のいちばん最後の派手な花火を
思い出しました。
もう充分表現しきったすがすがしさと
寂しさを含んだ余韻。
Commented by kozakurapon at 2009-04-13 23:12
おっと前後しました。maioさんごめんなさい。
最後の作品、ガツンときますよね。
ちょっとわかりにくい場所ですが
探して行く価値はあると思います。
簡素に、でもこまかい配慮でしつらえられた空間。
こころをこめて出される一服のお茶。
時間のあるときに、少人数でお越しになることを
おすすめします。
キューピーは常設展示はされていません。
オーナーに相談してみてください。
Commented by kozakurapon at 2009-04-13 23:22
yukai5さん、ほんとですね。
まわりのものに「慣れ」てしまうことなく
毎日のなかに新鮮な驚きや感動をもって
年を重ねていけたらと思います。
Commented by ○。°好日居 。○ at 2009-04-15 21:44 x
ご来居ありがとうございました
好日居です
一年前からQPを気にしていただいていて
一年経った先日初めて好日居にご来居いただいて
QPに会っていただいて
祖母ひさのを紹介していただき…
ありがとうございます
無くなったのは98歳ですが
QPの姿が物語るように
最後まで本当に清く美しく感謝に満ちた人生でした
blog「今日のひさのちゃん」でもQPに会っていただけます
そちらもどうぞのぞいてみてくださいね
こまつか苗さんにお目に書かれたのもQPのおかげ…
そう思うとやはり祖母はただものではない…
孫馬鹿ではありますがやはりそう思うのです

こまつさんの作品にお目にかかるのもまた楽しみにしております
Commented by kozakurapon at 2009-04-16 09:08
好日居さん、先日はありがとうございました。
(記事のなかでお祖母様の年齢を間違えていて申し訳ありませんでした。)
初対面にもかかわらず、興味深いお話をたくさん伺い
たのしい時間を過ごしました。
とくに、うつわは使われてこそ生きるというお話は
非常に共感するところがあり、
また後日このブログでもふれたいテーマです。

5月末は日没も遅くなるので
会場までおこしになるのも大変かと思いますが
またお会いできたら嬉しいです。