タカラヅカの敷地内8坪ほどのスペースに、「鳥類タカラヅカ歌劇場」がヒッソリと存在しています。
(これは思いっきりフィクションです。探さないでください。)
今日は「半目組」の公演「エリザベートカラー」の日。
たくさんの鳥類ヅカファンたちが頭を小刻みに動かしながら
開演を今か今かと待ちわびています。
「今日もたくさんのお客様ね・・。」
娘役トップの「
何出模アリサ」(ナンデモアリサ)
は幕のかげから客席を見渡してそうつぶやきました。
「あ、
音松さん!」
カメラマンになったと風の噂に聞いたけど・・・。
紫のバラを持って・・今なぜここに?
アリサの胸に、音松と出会ったころの記憶が蘇りました・・・。
それは歌劇場に併設されている音楽学校に入ったばかりだったころ。
アリサは新人ばかりがやることになっているラインダンスが苦手で
寮をそっと抜け出し、近くの橋のうえから夕暮れの川を眺めていました。
わたしには才能があるんだろうか・・。
「ようよう姉ちゃん、可愛いね。この鐘でもかぶって俺と遊ばない?」
チンピラの「鐘かぶりのポン」がアリサに声をかけてきました。
「いえ、わたしは・・・」
「かたいこといわずにさぁ~、このへんにちょっといいバーがあるんだよ。
俺そこの常連だからさ、遊びに行こうよ。」
「もう帰らなくちゃいけないので失礼します!」
「やさしくしてりゃこのアマ、つけあがりやがって。早くついてきたらいいんだよ!」
「やめてください!」
「やめろ。いやがってるじゃないか。」
「なんだと?てめえに関係ないだろ。ほっといてくれ。」
「この子のお父さんはあんたらの世界では名の知れた半目親分だ。
あまりおかしなことをしないほうが身のためだぜ。」
「・・・ちっ、覚えてろよ!」
「お嬢さん、大丈夫ですか。
もう暗くなります。早く学校に戻られたほうがいいですよ。」
「ありがとうございます。おかげでたすかりました。
・・・あの、お礼をしたいのですが、どちらのお店の方ですか?お名前を・・・。」
「いや、名乗るほどの者じゃありません。
男と話なんかしているのを見られたらたいへんでしょう。
いいから早くお戻りなさい。」
「お名前だけでも・・・。私は音楽学校一年のアリサといいます。」
「・・・僕は音松。アリサさんですか。いいお名前ですね。
いつか舞台に出られたら見に行きますよ。
・・・さあ、門に入るまで見ててあげますから早く!」
アリサが門に入っていくのを見届けてから、
音松は橋を渡って帰っていきました。
その様子を見ていた者がひとり。
「あの子、一年のおちこぼれのくせに男と話なんかして生意気・・・。」
研究生の頭黒乙女(ズグロオトメ)先輩です!
アリサあやうし!
続きはまた。
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今回のモデル鳥・・・なんでもアリサ(ピヨちん) セキセイインコ
「あさたろう日記withインコ」あさたろうさんの愛鳥
音松さん(村東音松くん) コザクラインコ
「おとちゃんノート」 カメラマン村東剛さんの愛鳥
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あさたろうさん、ごぉさん、ありがとうございます。